SES・ITエンジニア SES業界ガイド・特集

未経験からSESに入るなら、「AI研修あり」の中身を見抜け

エンジニア不足を背景に、未経験・ポテンシャル採用を拡大するSES企業が増えている。一方で早期離職は業界課題のままだ。「生成AI研修あり」を掲げる会社の中身の見分け方と、入社前に確認すべき質問を当事者が解説する。

未経験からITエンジニアになる入口として、SESは今も最大の門である。エンジニア不足を背景に、実務未経験者を採用して育てる方針を掲げる会社は増え続けている。数十名規模の一括採用に踏み切る会社まで現れた。

同時に、業界の古い課題も残ったままだ。採用した未経験人材が、育つ前に辞めていく。研修の看板と現場の実態が乖離していれば、離職は構造的に発生する。そして2026年、研修の看板に新しい文字が加わった。「生成AI研修あり」である。仲介の現場からこの看板の中身を見分ける方法を書く。

「研修あり」の中身は三層に分かれる

SESの研修は、実態で三層に分かれる。

  • 第一層: 動画を見るだけ。eラーニングを渡されて放置される。研修とは呼べない。
  • 第二層: ツールに触るだけ。カリキュラムはあるが、現場業務との接続がない。「ChatGPTを使ってみました」で終わるAI研修はここに入る。
  • 第三層: 現場デビューまで設計されている。研修内容が最初の案件の工程と接続し、教育担当が現役エンジニアで、デビュー後のフォローまで組まれている。

「AI研修あり」の看板だけでは、第二層と第三層の区別がつかない。プロンプトを打つ体験と、実務でAIを使って成果を出す訓練は、まったく別物である。

面談で中身を見抜く四つの質問

  • 「研修を終えた人の、最初の案件は何の工程が多いですか」——テスト・監視オペレーターばかりなら、研修と案件が接続していない。
  • 研修期間中の給与はどうなりますか」——無給や大幅減額なら、育成をコストと見なしている会社だ。
  • 「未経験入社者の現場デビュー率と定着率を教えてください」——数字で答えられない会社は、追っていない。
  • 「教育担当は現役のエンジニアですか」——実務から離れた講師だけなら、AI研修の内容は確実に古い。

未経験×生成AIの現実

最後に、入る側への注意を一つ。生成AIは初学者の学習を劇的に加速する。分からないコードを説明させ、エラーの原因を推測させ、写経の壁打ち相手にする。使わない手はない。

ただし、AIが書いたコードを自分で説明できない人材は、現場で即座に見抜かれる。基礎の理解を飛ばしてAIに依存した人と、基礎を積んだうえでAIを道具にした人は、面談の受け答えで区別がつく。順番を間違えるな。基礎が先、AIはその増幅器である。この順番を研修設計に織り込んでいる会社こそ、選ぶ価値のある会社だ。

FAQ

未経験でSESに入るのは「やめとけ」と言われますが本当ですか?

会社によって実態が大きく違うため、一括りの判断は不正確です。研修が現場デビューまで設計され、最初の案件の工程と定着率を数字で説明できる会社なら、未経験の入口として機能します。見分ける質問を面談でぶつけてください。

生成AI研修だけ受ければ現場に出られますか?

難しいです。生成AIは学習の増幅器であって基礎の代替ではありません。プログラミングとITの基礎を先に固め、AIを併用して学習効率を上げるのが現実的な順番です。

← SES・ITエンジニア SES業界ガイド一覧へ戻る